40歳をすぎても記憶力は伸ばせる
高田明和著
講談社α新書
★★★

医学博士の著者が、脳の構造と記憶の仕組みをわかりやすく解説しながら、どうすれば記憶力を伸ばせるかを記した書。記憶術というよりは、年をとっても物覚えを良くすることは可能なので、心配せず自信をもって記憶する努力をしようという趣旨の本です。

脳細胞は生後は増殖せずに、1日10万個ずつ死滅していくだけだと考えられていました。ところが、最近の研究では、脳細胞は何歳になっても増えるということが分かってきたと著者は言います。この画期的発見により、記憶力も何歳になってもよくする事が可能であることもわかったのです。そういえば、ロンドンのタクシー運転手はつねに道を覚える努力をしているので、記憶を司る海馬がキャリアを積むごとに大きくなっていくという話も聞きます。

脳の中にはいろいろな引き出しがあって、物事を覚える時には記憶が整理分類されて、グループごとに別の引き出しに収納される仕組みになっているのだそうです。また、どのグループに分類したらいいかわからない記憶は、分類保留用の引き出しに収納されるようになっています。ここに収納されると、忘れやすかったり思い出しにくかったりするようです。こうした仕組みを理解すると、覚えるときには、ものを整理して理解してから覚えるのが大事だということがわかります。

運動することも脳の活性化には大きな意味があるようです。

この本の結論は、とにかく記憶力を良くする努力を続けるのだ大事だということ。当たり前といえば当たり前ですが。何かをど忘れして思い出せない場合には、あきらめずに思い出す努力をするのが大切だそうです。
人の名前を思い出せないとか、顔と名前が一致しないとかいうのは、高齢者だけではなく若い人でも起こりがちですが、これは努力で改善します。
顔から名前を思い出す。あいうえお順に辿って名前を思い出そうとする。名前と関係しそうな職業、学歴、出身地、顔が似ている人の名前などを思い出すといいそうです。。

そして、この本が勧める記憶力を良くする方法は次の9項目。

①記憶力を良くする努力を、年をとってもあきらめずに続ける。
②脳の訓練を欠かさない。とくに外国語の学習が良いそうです。
③運動は前頭葉の機能を高める。脳は体全体とつながっているので、体を動かせば脳も働きます。
④睡眠が短いと記憶力が落ちるので、しっかり寝ること。レム睡眠の際に記憶が整理されて定着します。
⑤身体の酸化を防ぐ食品を摂る。それが脳の血管なども丈夫にします。ビタミンC、E、ベータカロテンなどがいいようです。
⑥肉と甘いものと大豆で脳を鍛える。脳を守るセロトニンというホルモンはトリプトファンというアミノ酸を多く含む肉を食べることで、造られやすくなります。また、脳は糖質で動くので、甘いモノが大事です。
⑦タバコと酒は脳を鈍らせる。
⑧薬を安易に摂らない。
⑨心を傷つけない考え方をする。ストレスは記憶力を鈍らせる大きな原因だそうです。記憶力が悪くなったと、必要以上に嘆くことは、脳にストレスになるので、気持ちをラクにすることが大事です。

年をとってものを覚えようとしても、なかなかうまく覚えられず、すぐ忘れる事が多いけれど、忘れてもいいので、覚えるという努力が、脳を活性化して脳細胞を増やしていくことにつながるのです。